• Twitter Clean
  • Facebook Clean
  • White Instagram Icon
  • SoundCloud Clean

​お問合せ yujihiromoto@gmail.com

© 2019 by Yuuji Hiromoto with New Raga Acoustic 

 

主催 広本雄次
制作 New Raga Acoustics

  • Yuuji Hiromoto

旅の音色016 【ベトナム - サイゴン1994】

【ベトナム-サイゴン】

プノンペンからバスでサイゴン(ホーチミン)へ行き、2〜3日滞在した後メコンデルタ地帯のミトーとカントーにそれぞれ一泊して見て回りまたサイゴンに戻った。

《Saigon cafe》という店にたむろしている、口元のホクロから長い毛が生えていてそれを指先で触るのが癖のシクロ乗りのマイクという気の合う男に「安い宿を探してる」というと、着いてこいという仕草をして歩いて行く。


連れて行かれた路地裏には日本の花札を縦半分に割ったようなカードで博打をしている親分肌で厳つい目の小太りの女がいて、その女にマイクが何かボソボソと彼女の耳元に話しかけると僕の事を上から下まで舐めるように見た後、マイクに顎であそこに連れて行けという仕草をして宿を教えてくれた。

普通の民家の2階をモグリで貸しているらしく、相場の半値くらいで泊まることができた。

そこを基点にレンタルバイク《ホンダのスーパーカブ》を借りてサイゴンを見て回った。

ベンタイン市場の外側に行列が出来ている店があったので覗いてみると、蟹の身を辛めに味付けしたものが乗ったフォー(ベトナムうどん)で、並んで食ってみるとこれが本当に美味しくてその後数回通った。


戦争博物館にも行ったが、かなり重たい内容だった。

報道カメラマン石川文洋の、戦場でアメリカ兵が、爆破で無残な姿になったベトナム人の遺体を片手で持ち上げている有名な写真が飾られていた。

ある夜、路上に席を広げている《Saigon Cafe》で酒を飲んで日本人旅行者と話していると、ガリガリに痩せこけてかなり貧相なマッサージ屋の男がしつこく絡んでくるので、では試しにと一度マッサージを頼んでみるとこれが痛いだけで全然効かない。

その後もしつこくタバコをせがんできたりして付きまとって来るので面倒くさい奴だなぁと思って邪険にしていたその時、道路を挟んだ向かいのビアホイ(ビール屋)から大声で叫ぶ声が聞こえて来たと思ったら大喧嘩が始まった。

約20人の男女が罵り合いながら殴り合っている。

カフェにいた客やシクロ(サイクル人力車)乗りと一緒に野次馬になって様子を見ていたら、あのマッサージ屋の男が僕の肩を叩き、こちらに向かってガリガリの腕で力こぶを作るポーズをした後、ゼスチャーで「俺は強い」「1人でも2人でも大丈夫」と言いながらジャッキーチェンのカンフーの様にその場でぴょんぴょんと飛び跳ねだした。

思わず吹き出してしまったそのとき、道の向こうから道路の真ん中を、片手に日本刀の様なものを持ったチンピラヤクザが2〜3人足早に現れ喧嘩の仲裁に入ったのだが、脅しのつもりなのか日本刀を振り回し暴れ始め、そのうち一人がこちらの方に向かって来て店の前に停めてあるシクロを凄い勢いで斬りつけて来たので、野次馬達は驚き仰け反るようにその場を離れた。

その時ふと、あの「俺は強い」と言っていたマッサージ屋の動向が気になり探してみると、なんと奴は僕が座っていた席の辺りで隠れるようにしゃがみこみ、辺りをキョロキョロと見回してテーブルに手を伸ばし、そこに置いてあった僕のタバコの箱を素早く手に取り、中からタバコを1本だけ取り出して懐に隠し、またキョロキョロと辺りを見回してそそくさとその場から消えていった。

その一部始終をしっかりと目撃できて、しかも箱ごと持っていけばいいものを1本だけしか盗らないところも可笑しくて、緊迫した状況にもかかわらず思わずまた吹き出してしまった。

数分後に喧嘩は収まりヤクザ達は帰っていった。

数日後サイゴンを離れバスで古都ホイアンへと向かった。

サイゴンを離れるとき、マイクが追いかけて来て手を振ってくれた。

#旅の音色

4回の閲覧
This site was designed with the
.com
website builder. Create your website today.
Start Now